宅建 平成26年度(2014年)問14 権利関係 の解説
問題
不動産の登記に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 表示に関する登記を申請する場合には、申請人は、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。
- 新たに生じた土地又は表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、表題登記を申請しなければならない。
- 信託の登記の申請は、当該信託に係る権利の保存、設定、移転又は変更の登記の申請と同時にしなければならない。
- 仮登記は、仮登記の登記義務者の承諾があるときは、当該仮登記の登記権利者が単独で申請することができる。
正解
正解は選択肢 1 です。
解説
正解は選択肢1です。表示に関する登記(例:土地の表題登記や建物の表題登記)は、不動産の物理的状況を公示するものであり、権利の変動を伴いません。そのため、権利に関する登記で必要とされる「登記原因を証する情報」(売買契約書など)の提供は不要とされており、不動産登記法第28条の規定からも明らかです。
【不動産登記法第28条(表示に関する登記の申請情報)】 表示に関する登記の申請情報には、登記原因に関する事項は含まれないことを示唆しています。表示に関する登記は、不動産の物理的状況を公示するものであり、権利変動を伴わないため、登記原因証明情報は不要です。 【不動産登記法第30条(権利に関する登記の申請情報)】 権利に関する登記の申請情報には、登記原因に関する事項を含める必要があることを示しており、表示に関する登記との違いを明確にしています。 【不動産登記法第36条(土地の表題登記の申請義務)】 新たに生じた土地又は表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない、と規定しています(選択肢2の根拠)。 【不動産登記法第98条第1項(信託の登記の同時申請)】 信託の登記の申請は、当該信託に係る権利の保存、設定、移転又は変更の登記の申請と同時にしなければならない、と規定しています(選択肢3の根拠)。 【不動産登記法第107条第1項(仮登記の単独申請)】 仮登記は、仮登記の登記義務者の承諾があるとき、又は仮登記を命ずる処分があるときは、当該仮登記の登記権利者が単独で申請することができる、と規定しています(選択肢4の根拠)。
【選択肢1】誤。 表示に関する登記とは、土地の所在、地番、地目、地積や、建物の所在、種類、構造、床面積など、不動産の物理的な状況を登記簿に記録し、公示するための登記です。例えば、土地を埋め立てて新たに土地が生じた場合の「土地の表題登記」や、建物を新築した場合の「建物の表題登記」、地目を畑から宅地に変更する「地目変更登記」などがこれにあたります。 これらの登記は、不動産の権利(所有権、抵当権など)の変動を伴うものではありません。そのため、権利に関する登記(例:所有権移転登記)で必要とされる「登記原因を証する情報」(例:売買契約書、贈与契約書など)は、表示に関する登記の申請時には提供する必要がありません。不動産登記法第28条に定められている表示に関する登記の申請情報には、登記原因に関する事項は含まれていません。したがって、「登記原因を証する情報を提供しなければならない」という記述は誤りです。 【選択肢2】正。 不動産登記法第36条に明確に規定されている通り、新たに生じた土地(例:埋め立てによってできた土地)や、まだ登記簿が作成されていない(表題登記がない)土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1ヶ月以内に、その土地の物理的な状況を公示するための表題登記を申請する義務があります。これは、不動産の現況を速やかに登記簿に反映させ、公示の正確性を保つための重要な規定であり、この義務を怠ると過料の対象となる可能性があります(不動産登記法第164条)。 【選択肢3】正。 不動産登記法第98条第1項に明確に規定されています。信託の登記とは、信託財産である不動産について、その所有権が受託者に移転したことや、信託の目的、受益者などの信託の内容を公示するための登記です。この信託の登記は、信託財産である不動産に関する権利の「保存」(例:信託財産である建物の所有権保存登記)、「設定」(例:信託財産に抵当権を設定する登記)、「移転」(例:信託財産である不動産の所有権移転登記)、「変更」(例:信託財産に関する権利の変更登記)といった権利に関する登記と同時に申請しなければならないとされています。これは、信託財産である不動産に関する権利の変動と信託の内容を一体として公示することで、取引の安全を確保するための規定です。 【選択肢4】正。 不動産登記法第107条第1項に明確に規定されています。仮登記は、将来行われる本登記(例:所有権移転登記)の順位をあらかじめ確保するための登記です。通常、登記は登記権利者(例:買主)と登記義務者(例:売主)が共同で申請しますが、仮登記の場合、本登記の登記義務者となるべき者(例:売主)が、仮登記の申請に協力してくれない場合があります。しかし、登記義務者(例:売主)が「仮登記をしても良い」と承諾してくれた場合や、裁判所から「仮登記を命ずる処分」が出た場合には、登記権利者(例:買主)が単独で仮登記を申請することができます。これにより、登記義務者の非協力によって仮登記ができないという不都合を解消し、登記権利者の権利保全を可能にしています。